「ただいま。……?」
おかしいな?
桜咲は近衛のところに行くといってたから居ないのはわかったけど楓も居ないのか…。
「真名の部屋で先に待ってるでござるよ〜」って言ってたんだがな…。
いままで先に待つといってたときは「おかえり」と返ってきたんだが…。
事情があるのかも知れないが…。
そんなことを考えながら部屋の奥へ入っていくと、見慣れた後姿があった。
「楓…?」
「ん…むにゃ…」
寝てる…のか…?
楓の割には無防備すぎる…。
昨夜は朝4時すぎまで帰らなかったからな…。流石の楓でも転寝(うたたね)はしてしまっても仕方ないか…。
「ん? ノート?」
転寝している楓の腕の下に1冊のノートが敷かれていた。
「楓、起き……ないよな」
とりあえず机に突っ伏して寝ている楓をベッドに運んでやる。
で、腕にノートの文字が写ってたからそれも拭いてやる。
「流石に起きろよ…楓〜?」
ふむ。
起きない。
リビングにもどると、机の上には開きっぱなしのノート。
楓は寝たままで動かない。
「………………」
いい…よな?
私は恐る恐るノートを手に取る。
「日記…?」
それはいわゆる日記帳だった。
楓の字でノートの半分ぐらいは使われているようだ。
とりあえず、開かれていたページを読んでみる…。
先日ページが新しくなったようで、左ページの半分くらいも埋まっていない。
昨日の日付…。
『○月○日
今日は真名が手作りの料理をたべさせてくれたでござる。
また食べたいでござるな〜(ハート』
「楓…」
恥ずかしくも嬉しい。
そんな感覚のまま、次の行を読む。
今日の日付。
先ほどまで書いていたのだろうが一体…。
『○月×日
真名〜。後ろ後ろ(はーと』
…………。
………………。
背筋が凍った。
恐る恐る、私は後ろを振り返る。
「な、なんだ……」
当然といえば当然だが、そこに楓は居なかった。
やっぱり寝たままか。
「ダメでござろうよ。人の日記を読んだら」
「なっ!!!」
真上から声がして情景反射で銃を上に向けるがその銃を弾かれる。
「あ、いや…」
「悪い子にはおしおきでござるよ〜」
「あ、あの…」
「介抱には感謝するでござるが、おしおきでござる」
どうやら今晩は眠れないらしい……。
楓の笑顔がいつになく恐ろしくみえる……。
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